● 味噌汁
ご飯に味噌汁。この組み合わせはあまりにも当たり前で、普段その価値を考えることはあまりないのですが、言うまでもなく日本人の食生活の基本です。
日本人が鎌倉時代以降、一汁一菜を食の基本として毎日味噌汁を食べ続けてきたのは、味噌が健康づくりの基本であることを昔の人が経験上よく知っていたからです。
ご存知の通り味噌の原材料は大豆です。大豆は栄養価が極めて高いのですが、そのまま煮たり炒ったりする通常の料理法では消化吸収が悪いのが難点です。ところが、この大豆を味噌にすることにより、大豆タンパクが酵素によって分解されてアミノ酸となり、炭水化物もブドウ糖になります。
旨(うま)みが増すうえに、消化吸収もよくなって一挙両得。そしてさらに重要なのは、味噌から大豆のもつタンパク質やビタミンB群を取り入れつつ、味噌汁にすれば野菜や海草、根菜などを煮て汁ごと食べるため、カリウムやマグネシウムほか各種ビタミン、ミネラル、食物繊維を一度にとれることです。期せずして上手に栄養バランスをとることができる訳です。
ちなみに、日本各地の味噌は、地域によって味や色などそれぞれの特徴がありますが、大まかに分けると主として北関東から東北、北海道地方では辛口味噌。愛知や三重などでは豆味噌、京都を中心とする近畿地方では白甘味噌が好まれ、九州、四国では甘口の麦味噌や米味噌が好まれているようです。
味噌汁の丁寧な呼び方に「おみおつけ」があります。漢字にすると「御御御付け」となるそうです。「御」を三つも重ねて付けるほど、日本人の食卓には欠かせない大切な汁物というのが伝わってきます。
● 高野豆腐
高野豆腐は、和食の代表的な食材の一つ。水切りしたやや固めの木綿豆腐を凍らせて熟成させたうえで乾燥させたもので、地方によっては凍り豆腐(こおりどうふ)・凍み豆腐(しみどうふ)なども言う。
もともとは冬の寒冷地方で昼夜の寒暖差を利用し、寒中の屋外に放置することで、夜間に水分が凍結し、日中にそれが溶け出すことを繰り返すことにより完全に水分が抜け、乾物として保存性を高めたもの。 現在は冷凍機で凍結し、乾燥機で乾燥する機械製法がほとんどである。
高野豆腐の主成分は、たんぱく質と脂質で、脂質の代謝を促進する大豆サポニン、老化を予防するビタミンE、骨粗鬆症(骨がすかすかになる病気)を防ぐイソフラボン、そのほかにもカルシウム、マグネシウム、ビタミンK、徹、亜鉛、食物繊維など、アミノ酸以外の栄養素も豊富である。
● こんにゃく
めっきり冷え込んで鍋物の美味しい季節となりました。鍋物と言えば、すき焼きをする時、「肉と糸こんにゃくを並べて煮ると凝固剤のカルシウムイオンの作用で肉が固くなるので、なるべく離して煮るのがコツ」という話を聞いたことがあります。
そのすき焼きなどに使われる「しらたき」、或いは「糸こんにゃく」。「一体、どこが違うの?」と思ったことはありませんか。
結論から申し上げますと、どちらも成分は同じです。「しらたき」も「糸こんにゃく」も、こんにゃく芋を粉にして石灰乳を混ぜて固めたものです。ただし、両者は加工法が若干違います。
しらたきは、こんにゃくの液をところてんのように突き、細くしてお湯に放して固めます。これに対して糸こんにゃくは、固まってこんにゃくになってから突いて細い麺状にします。つまり、『こんにゃくになる前に突くのがしらたきで、こんにゃくになってから突くのが糸こんにゃく』という訳です。
ご存知の通り、見た目では白くて細いのがしらたきで、黒っぽくて太めなのが糸こんにゃくです。糸こんにゃくが黒っぽいのは、海草(アラメ・ヒジキ)やお茶などで着色しているからです。しらたきの白は、こんにゃく芋の粉そのものの色です。
● 黒 糖
ミネラル分が豊富で健康志向の高まりを背景に人気が高まっている『黒糖』。
沖縄や鹿児島では冬から春先にかけてサトウキビを収穫して4月頃まで黒糖を製造しているため、春がその『黒糖』の旬、最も美味しい時期だそうです。
サトウキビを圧搾(あっさく)し、その搾り汁を煮詰めて乾燥させ、最後に固めるという単純な作り方ですが、『白糖』は搾り汁に含まれる糖みつなどを取り除いて精製しますが、『黒糖』は何も取り除きません。
このため、カリウム、マグネシウム、リンなどのミネラル成分が残っています。 特に、カルシウムの含有量が多いため、丈夫な骨や歯を形成するそうです。また、白糖に比べてカロリーも少なめで肥満に悩む方にもよいかもしれません。
疲労回復、脳の働きを活性化、丈夫な歯や骨を形成、美容効果とダイエット時の栄養補給、長寿の源・・・等々、その効用が言われています。
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